知の統合により新たな領域を開拓する
九州大学は、2030年の目指す姿として「総合知で社会変革を牽引する大学」
を掲げ、九州大学が有する多様な「知」と「人材」を結集して、自然科学系
や人文社会科学系、さらにはデザインを加えた「総合知」によって、社会的
課題の解決とそれによる社会・経済システムの変革や、新しい価値の創造に
取り組んでいます。
統合新領域学府は、すでに15年前の2009年に未来の人類の課題に対処する
には、これまでの学問の枠組みに収まらない新しい知の統合を創造するしか
ない、という理念の下に創設されました。学問を提供する側の論理ではなく、
社会にある具体的対象が要求する問題に焦点を当てる「現場の統合知」を扱
う大学院として構想されたものです。自然科学系や人文社会科学系、さらに
はデザイン系を加えて全学横断的な融合系学府として、幅広い専門分野の教
員が研究・指導にあたっています。
社会に実在する本物の課題を取り上げて、教員と学生がチーム一丸となり、
プロジェクトの中で学んでいく動的な研究教育の実践を目指しています。先
駆的な活動として企業と連携して、企業も教育に参加するという考えのもと
で、長期のインターンシップを実現し、多くの学生が企業の研究の実際と大
変さを勉強してきました。そして、大学が持つ知的な資産である図書館や研
究博物館、そして伊都キャンパスという未来型の複合施設と周辺の大学街そ
のものを社会的な実践の場として活用する新しい大学院教育のモデルも構築
してきました。
ユーザー感性スタディーズ専攻は、2023年度より「ユーザー感性学専攻」か
ら改編されました。人間の“感性”への科学的探究、感性を育み表現すること
の探究、技術と感性の融合による新たな価値創造の仕組みの探究を目指した
「より深い」学びの場を提供することを試みています。使用する立場からの
発想というユニークな学問の構築を行っています。
オートモーティブサイエンス専攻では、カーボンニュートラル社会を実現す
るためにエネルギー効率の高い自動車、安全で快適なモビリティ社会を実現
するために、理工学を始めとする自然科学だけでなく、人文・社会科学の知
を動員し、それらを統合して解決する方法を学びます。
ライブラリーサイエンス専攻では、様々な情報の管理・提供に関する諸問題
を、進展著しい著作権などの法律的な背景を踏まえて、情報の整理学、図書
館情報学、アーカイブズ学、情報科学等の知の統合により解決する方法を学
びます。現在のデジタルトランスフォーメーション(DX)の先駆的な取り組み
を行っています。
いずれも細分化された学問領域からの従来のアプローチでは解けない諸問題
に対して、社会という共同的な実践の現場に対する大局的な視点と使命感を
持ち、未来へのプロジェクトとして「知の統合」を実行する社会的使命感の
ある学生を世に送り出すことを設置理念と考えています。
文系・理系の枠のとらわれずに新しいチャレンジを試みようとする精神の若
い皆さん、広い視野から学びなおし新しい視点を掴み取りたい社会人の皆さ
ん、統合新領域学府で一緒に学び、新しい世界を切り拓いていきましょう!
統合新領域学府 学府長 石原達己