平成23年12月3日(土)、アクア博多(福岡市博多区中洲)において、レコードマネジメントをテーマとするシンポジウムを開催しました。このシンポジウムは、九州大学の主催、国立公文書館、日本記録情報管理振興協会、福岡県の後援、日本レコードマネジメント株式会社、麻生レコードマネジメント株式会社の協力で開催されました。

レコードマネジメントの重要性への認識が高まるなか、これを実際に組織の現場で担う専門人材の育成とキャリア形成について、公行政、民間企業から、最先端のご経験を有する方々にお集りいただき、60名以上の参会者とともに、現状の課題と今後の展望について、幅広く意見交換しました。

シンポジウムは、まず岡崎敦ライブラリーサイエンス専攻長の趣旨説明にはじまり、ついで、主催者を代表して、丸野俊一九州大学理事より挨拶が行われました。その後、鍋島豊文部科学省高等教育局視学官より、来賓のご挨拶を賜りました。

基調講演では、最初に、日本レコードマネジメント株式会社会長の山下貞麿氏より、「記録情報管理の重要性と専門人材の必要性」と題する講演が行われました。山下氏は、我が国においてレコードマネジメント業界を開拓なさってきたご経験と、現在の課題について述べられ、シンポジウム全体の基調をご提示いただきました。
ついで、国立公文書館長の高山正也氏より、「公文書管理における専門人材の必要性」と題する講演を頂戴しました。先進諸国の状況を参照されながら、レコードマネジメントが、単なる資料の保管を超える射程を有していること、これを担う専門職は新たな発想で育成せねばならないことを力説いただきました。

休憩後は、現在我が国で先端的な取り組みを続けている方々によるパネルディスカッションが、日本記録情報管理振興協会の吉国三千子氏の司会により行われました。
まず、JXホールディングス取締役常務の川田順一氏より、本社移転を契機とする記録管理システムの本格的導入、ならびにコンプライアンス対応についてご紹介いただきました。ついで、新日鉄製鐵株式会社業務プロセス改革推進部部長の真辺純裕氏が、記録管理と業務プロセス改革との関係から見た諸問題を論じられました。さらに、福岡県行政経営企画課企画監の小原康弘氏より、現在建設中の、福岡県と市町村の共同事業による公文書館設置準備について紹介されました。最後に、本専攻の三輪宗弘教授が、記録管理の先進国であるアメリカの事例を示しました。
パネルディスカッションでは、古川勝彦九州大学産学官連携担当総長特別補佐より、本学における産学官連携の取り組みが紹介されました。レコードマネジメントを現場で担う専門人材育成のため、産官学の協力を強化する必要性を確認しあいながら、ディスカッションを終了しました。
シンポジウムは、最後に、川本芳昭九州大学副学長、附属図書館および大学文書館長の挨拶で締めくくられました。

今回のシンポジウムは、レコードマネジメントを担う専門人材の育成について、産学官が協力して開催した我が国初めての試みでした。ライブラリーサイエンス専攻も、その動きに棹さす努力を続けてまいります。

シンポジウムのプログラム等については、こちらをご参照ください。