情報制御学分野は自動車の頭脳と神経，すなわち自動車の制御，ならびに制御を司る情報システムについて，要素技術はもとより開発方法論をも含めて教育・研究を行います。かつてエンジンやブレーキといった個別要素ごとに行われていた自動車の制御と情報処理は，いまや自動車全体を対象とするようになっています。今後は自動車と自動車，自動車と交通基盤との間で通信を行い，より一層の安全性と快適性，環境を考えた制御，情報処理が行われるようになります。また，自動車のエネルギーや動力源が多様化され，絶えず新しい制御手法が必要とされるようになっています。情報制御学分野は，絶え間ない変革が進む自動車制御情報システムを構築できる知識と技術を備えた人材を育成します。
教育・研究
情報制御学分野
自動車の次世代運動制御
通信技術の発達するなか，様々な“情報”を用いて，自動車をより安全，省エネルギーに走らせる制御が主なテーマです。なかでも制御理論や最適化手法など数理的な面に焦点をあてます。“情報”には、クラウド経由で走行中に得られる道路交通情報やデジタルマップなど、自動車からは遠距離で起こるものごとが含まれます。しかして、ドライバーや自動車の制御系は計画的に走行し従来の自動車では不可能な性能を発揮することができます。
自動車用パワーエレクトロニクスの研究
自動車用パワーエレクトロニクスの研究として，次の研究を行っています。
(1)双方向DC-DCコンバータの小形・軽量・高効率化
(2)SiC・GaN素子を用いたスイッチング周波数の高周波化
(3)デジタル制御による高速で安定な制御の実現
(4)ノイズ相殺技術を用いたモータ駆動用インバータの低ノイズ化
(5)伝導ノイズ・放射ノイズの発生・伝搬機構の解明
(6)ノイズのモデリング・シミュレーション・測定技術
自動車用センサおよび応用システムの研究
自動車の電動化・知能化へ向けて、安全性や利便性向上につながるデバイスおよび応用システムの研究を行なっています。
(1)出会い頭事故防止技術の研究
(2)遠赤外線イメージセンサおよび応用システムの研究
(3)光による非接触給電技術の研究
(4)現地滞在可能時間地図の研究
(5)移動の価値に関する研究
超伝導技術と自動車応用
超伝導体には電気抵抗を無視できる状態で従来材料の100倍以上の電流密度で通電することが可能です。
この特長を生かせば、超伝導技術は自動車応用でも
(1)電気自動車の高トルク密度化・高効率化（超伝導モータ）
(2)電気自動車の非接触充電への応用（超伝導コイル）
(3)燃料電池車の普及の鍵となる水素社会への貢献（液体水素冷却超伝導機器）
など、次世代自動車社会を支える技術となることが期待されています。
そこで本研究室では、超伝導材料の評価からシステムの提案まで、材料のポテンシャルを最大限に生かす応用研究を行っています。
セキュアコンピューティング
ハードウェアによる安全なコンピューティング技術に関する研究を行います。CPUやメモリなどを対象にハードウェアによるセキュリティ技術を導入することで、マルウェア検出技術、メモリアクセス情報の秘匿技術などに取り組みます。また、これらのハードウェアセキュリティ技術は自動運転車両への適用など具体的な応用を目指します。