平成22年12月18日(土)、本学中央図書館視聴覚ホールにおいて、「ライブラリーを科学する」と題するシンポジウムを開催しました。このシンポジウムは、平成23年4月九州大学大学院統合新領域学府に新しく発足する「ライブラリーサイエンス専攻」の設置を記念して、専攻設置準備委員会と、附属図書館、ならびに大学文書館の共催で開催されたものです。当日は、全国各地から160名を超える参加者をえて、活発な意見交換が行われました。

ライブラリーサイエンス専攻は、ICT環境の真っただ中に置かれる現代情報社会の急速な進展に対応するため、ユーザーの視点に立った情報の管理と提供を確保し、同時に知の創造と継承を支える新たな「場」(これを「ライブラリー」と呼びます)に求められる高度な専門人材を養成する大学院として設置されます。

シンポジウムの第一部では、塩次喜代明学府長の挨拶ののち、まず新専攻の概要が紹介されました。続いて、国立公文書館長 高山正也氏による「日本におけるアーカイブズの役割」、筑波大学大学院図書館情報メディア研究科長 植松貞夫氏による「図書館情報学の未来」と題した講演が行われ、図書館情報学とアーカイブズ学の関係性や筑波大学を中心とした図書館情報学の変革の現況などから、新専攻の目指すべき方向が示唆されました。

第二部では、まず本専攻を構想した有川節夫総長が、学術情報基盤整備の観点から専攻開設の意義について語ったのち、パネルディスッカションが行われました。ここでは、講演者のお二人に加えて、慶應義塾大学文学部の倉田敬子教授、専攻専任予定教員である三輪宗弘教授、冨浦洋一准教授の5名が、吉田素文附属図書館副館長の司会のもとで、図書館情報学やアーカイブズ学の現状を整理し、未来を展望しながら、新専攻の課題について議論を交わしました。フロアからも活発に意見や質問が出され、新専攻のこれからについて率直な意見交換がなされたことは、新専攻に対する期待の大きさの表れといえます。

シンポジウムは、川本芳昭附属図書館長の挨拶で締めくくられました。

なお、開催日は、ライブラリーサイエンス専攻の記念すべき第一回入試の学生募集の最中であったことから、会場内にブースを設けて、入試や教育に関する質問にお応えしました。こちらも50名近い方々の問い合わせを受け、新専攻に対する関心の高さを伺わせました。


高山正也国立公文書館長による講演
植松貞夫筑波大学図書館情報メディア研究科長による講演
パネルディスカッション(一番左:倉田敬子慶應義塾大学教授)
新専攻の構想を熱く語る有川節夫総長
パネルディスカッションと満員の会場
入試説明会で熱心に質問する学生たち