2023年1月11日(水)13時30分より、九州大学伊都キャンパス、イーストゾーンC-203会議室において、「DX時代の情報管理と人材養成 ─ライブラリーサイエンス専攻の挑戦─ 」題するシンポジウムが開催されました。シンポジウムの模様は、オンラインでも配信されました。

 九州大学では、大学院人文科学研究院、統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻、数理・データサイエンス教育研究センターの連携により、文部科学省大学教育再生戦略推進費「デジタルと掛けるダブルメジャー大学院教育構築事業 ~Xプログラム~」による、「ウェル・ビーイングの実現に貢献する高度人文情報人材養成プログラム:人文学×データサイエンスによる「人文情報学」大学院の設置」と題する新しい学際的大学院プログラムを開始することとなりました。
 このシンポジウムは、新教育プログラムの発足を記念して、大学院人文科学研究院、統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻の共催、附属図書館、人社系協働研究・教育コモンズの共催により開催されたものです。
 「デジタル(DX)時代の資料や情報の適切な管理と提供」と題して、「人文科学とライブラリーサイエンス専攻の連携」の深化、および「データ・情報管理専門職養成とキャリア形成という二つの大きなテーマを軸に、4本の報告とパネル・ディスカッションが設けられました。当日は、対面で47名、オンラインで126名のご参加を得ました。

 シンポジウムでは、まずXプログラムを主導する大学院人文科学府の上山あゆみ学府長より、開会の挨拶を兼ねて、Xプログラムが紹介されました。その後、主催2組織双方に所属する岡崎敦教授より、シンポジウムの趣旨説明が行われました。


 報告では、ライブラリーサイエンス専攻専任教員を務める4名の教員より、情報管理の現状と、それを担う専門職養成に関するテーマが論じられました。
 石田栄美教授には、「オープンサイエンスにおける情報管理」と題して、特に図書館情報学領域での動向を中心に、オープンアクセスからオープンサイエンスへの拡大の動きと現状について論じていただき、議論の背景を共有しました。
 九大肝いりの大型プロジェクト「データ駆動イノベーション推進本部」で「研究データ管理部門」の責任者を務める冨浦洋一教授からは、「研究データ管理:研究者と大学の役割」と題する報告が行われ、単なる研究成果の公開にとどまらない、研究データ管理の射程の広がりと、その具体的な運用、責任のあり方などの諸問題が論じられました。
 大賀哲准教授は、政治学研究者の立場から、「情報ガバナンスとEBPMの射程」と題して、「根拠にもとづく政策決定 Evidence based Policy Making」の諸問題を、目的と手段という観点から論じ、市民のための行政にとって情報管理が持つ意義に対して、一石を投じられました。
 現職の図書館専門職員でもある渡邊由紀子准教授は、図書館領域における近年の内外の動向を比較検討しながら、「情報管理専門職の養成とキャリア形成」について論じました。社会全般における情報管理の重要性の高まりを反映して、関係の大学院やそこで養成される管理職専門人材が活況を呈する欧米の事情と、認知が低い日本の状況が対比されました。


 後半のパネル・ディスカッションでは、登壇者5名の間で、DX時代における人文学と情報管理の連携の深化、大学院における情報管理専門職養成という二つのテーマを軸に、意見交換が行われました。


 シンポジウムは、最後に、藤岡健太郎ライブラリーサイエンス専攻長の挨拶で締めくくられました。

 人文科学研究院、ライブラリーサイエンス専攻では、今回の新プログラムの採択を受けて、新しい大学院教育プログラムの実施を目指して努力しているところです。DX時代の新しい情報管理や、それを基盤とする学問の刷新、専門職の養成に寄与できるよう邁進いたしますので、関係各位の温かいご支援を、なにとぞよろしくお願いいたします。

 プログラムの詳細については、こちらをご参照ください。

(2023年2月22日追記)
シンポジウムの動画が公開されました。こちらからご覧ください。

(2023年3月30日追記)
シンポジウムの報告書が公開されました。こちらからご覧ください。